話題の「地雷メイク」 って一体何?なぜ流行った?

「地雷メイク」って知っていますか?泣きはらしたように目が赤く腫れあがり、肌を白っぽくしたり、透明感を出したりするメイクのことです。読売新聞では昨年から、若い女性を中心に流行しているこのトレンドを調査してきました。

3月上旬、東京・渋谷駅前でスマートフォンを見つめる若い女性の姿をキャッチしました。カラーコンタクトレンズを使用しているため、黒目が大きく見え、目の周りには赤いメイクが施されています。まぶたはアイラインで垂れ下がり、目の下の涙袋を強調するように横線が引かれています。まるで、少女マンガのキャラクターのようでした。

筆者は少し緊張しながらも、彼女に「地雷メイク」をしているかどうか尋ねました。20歳の彼女はうなずきながら、それに似た化粧をしていると言いました。

若手市場の調査グループ「Shibuya109 lab」代表の長田麻衣さんによると、「地雷女」が自分をよりか弱く見せたり、他人に気を遣ってもらったりして欲しい、という気持ちを表すために使う化粧を「地雷メイク」と呼ぶようになったそう。

昨年の春、SNSで「地雷メイク」が話題になると、YouTubeに「地雷メイク」をした動画が次々とアップされました。藤田ニコルや益若つばさなどのモデルやタレント、歌手の研ナオコなどが、このような動画を公開しています。新型コロナウイルスの自粛期間により、SNSや動画を見る時間が増えたことが、このメイクスタイルの人気をさらに高めました。検索結果によると、Instagramでは、地雷メイクの投稿が5万9000件以上もヒットします。

長田さんによると、「地雷メイクは、自分のかわいらしさをアピールするためのブームになっている。」とのこと。「か弱さ」や「はかなさ」を強調する世界の明確なイメージを表現しているからでしょう。

その日の気分や服装に合わせて、流行りのコスメを試すのを楽しむ人はたくさんいます。都内に住む22歳の女性会社員Aさんは、友人とのビデオチャットや休日の外出時に、「地雷メイク」を楽しんでいるそうです。

「新しい自分に変身するのが楽しいんです。」と彼女は説明してくれました。

それにしても、なぜネガティブな意味を持つ「地雷メイク」が流行っているのでしょうか?

コスメポータルのリサーチプランナーである西原宇衣子さんによると、これまでのメイクの主流は、美しく見えれば好感度が上がるというものでしたが、パンデミックで人と会う機会が減ったことで、不安を表現する手段として地雷メイクが流行ったのではないかとのこと。

また、地雷メイクは、それが人に与える印象から、一般的に「病みメイク」と巷では呼ばれているそう。

メディア環境を研究し、美容の歴史に詳しい久保由香さんによると、女性を病気風に見せる化粧は、明治時代(1868年〜1912年)からあったそうです。

1918年にスペイン風邪が流行すると、竹久夢二(1884年〜1934年)が描いた憂いを帯びた女性像が雑誌の表紙を飾り、絶大な人気を博しました。

久保さんは、「地雷」や「病気」といった自虐的なメイクアップの流行が、自分を表現することへの気負いをなくしてくれる、と述べています。

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